【CRAとCRC】看護師経験を活かせるのはどっち?年収・適性を徹底比較

キャリア

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「看護師として働いてきたけど、この先も同じ働き方を続けていけるか不安…」
「夜勤のない仕事で、看護師経験を活かせる働き方に転職したい」

そう考える看護師さんは少なくありません。
中でも人気なのが、治験業界(CRA・CRC)への転職です。

私自身、看護師からCROへ転職してCRAとして約10年、SMOで約1年のCRCアシスタントを経験しました。

この記事では、以下のポイントを中心に、現場経験者のリアルを交えて徹底解説します!
・CRAとCRCの違い
・看護師の経験をどう活かせるか
・それぞれの年収・働き方・適正
・向いている人の特徴と転職のコツ

治験業界への転職を検討している方は、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。

まず確認!CRAとCRCとは

まずはじめに、CRAとCRC両者の定義や役割を正確に理解しておきましょう。

CRAとは?治験をモニタリングする職種

CRAとはClinical Research Associateの略称で、「臨床開発モニター」といいます。

主に製薬会社やCRO(開発業務受託機関)に所属し、医療機関で行われる治験がルール通りに実施されているかをモニタリング(確認)します。

・治験実施計画書やGCP省令(治験のルール)に沿って進んでいるかを確認
・治験が実施される医療機関を訪問して、カルテやデータと照合して正確性を確認
・有害事象やデータの不備をチェック・確認

つまり、CRAは治験の品質を管理する役割を担っています
治験の進行に直接関わるというよりは、正しく安全に行われているかを確認する立場といえます。

CRCとは?被験者と医師をサポートする職種

CRCはClinical Research Coordinatorの略称で、「治験コーディネーター」といいます。

主に医療機関やSMOに所属し、医師や被験者と密接に関わりながら治験をサポートします。

・被験者さんへの説明や同意取得のサポート
・来院スケジュールや検査の調整
・医師、看護師、製薬会社(CRA)との連絡調整
・被験者さんの体調管理、相談対応

つまり、CRCは現場で治験を進行させる実務担当として、被験者さんと最も近い距離で関わる、医療職に近いポジションです。

【看護師必見】あなたの経験をCRA/CRCでどう活かせるか

看護師としての臨床経験は、CRA・CRCどちらでも大きな強みになります。
ただし、どんな経験が、どんな形で活かせるかは異なるので、しっかり整理しておきましょう。

CRAで看護師経験が活きるポイント

CRAで看護師経験が活きるのは、主に「考え方」「知識」の面です。

  • 論理的思考・アセスメント力

看護師は、日々「症状→原因→判断→対応」を行っています。
CRAのモニタリング業務では、カルテ上の記載や処方内容をもとに、治験薬の影響か、それ以外の疾患かを論理的に考え、医師とディスカッションする力が求められます。
看護師としての論理的思考やアセスメント力は、CRAでも不可欠なスキルといえます。

  • 医学知識とリスク感知能力

CRAは、被験者の状態をカルテから判断し、有害事象が漏れなく報告されているか確認する必要があります。
「低Na血症」「肺炎」など、看護師なら見逃さない兆候も、非医療職のCRAには分かりにくいことがあります。この点で看護師経験者は非常に有利です。

私がCRAとして担当した治験で、CRF(症例報告書)に反映されていない有害事象をカルテから発見したことがありました。
医師と相談し、軽微ながら治験薬との関連性があると判断され、結果的に品質管理部門からも「的確な指摘だった」と評価されました。
こうした医学的観察眼は、看護師出身ならではの強みといえます。

CRCで看護師経験が活きる点

CRCで看護師経験が活きるのは、主に「現場経験」「立ち居振る舞い」の面です。

  • 患者対応・コミュニケーション力

CRCは、被験者に治験の内容を説明し、安心して参加できるよう支える立場です。
看護師として培った「相手に合わせた説明力」「共感的態度」は、CRC業務の要になります。
被験者が不安や副作用を訴えたときも、医療知識をもとに適切な対応に繋げられるのが強みです。

  • 臨床経験による信頼獲得

CRCは医師や看護師との連携も多く、医療現場での立ち振る舞いやマナーを理解していることが大きな武器になります。
客観的にみていても、看護師出身のCRCさんは、現場に慣れるのが早い傾向にあります。

所属する機関による違い

CRAとCRCは、所属する機関が異なるため、業務内容も関わる相手も異なります。

関わる相手の違い

CRAは社外・社内調整が多く、CRCは患者・院内調整が中心です。

職種所属機関主な関係者特徴
CRA製薬会社
CRO
医師
CRC
事務局
製薬会社
医療機関と製薬会社の架け橋となる存在。
医療機関との折衝が多い。
CRC医療機関
SMO
被験者
医師
院内の他部署
医療機関内外の調整役。
被験者対応が中心。

どちらを「やりがい」と感じるかで、向き・不向きが分かれます。

業務の目的の違い

CRAは「製薬会社視点」、CRCは「医療機関・患者さん視点」で動きます。

CRA:治験の品質管理(=データの正確性の担保)
CRC:治験の進行管理(=被験者の安全と円滑な進行)

どちらも橋渡しの役割を担いますが、求められる成果と責任の方向性が異なります。

働き方と待遇の違いを実務目線で比較

転職を考えるうえで欠かせないのが、収入・働き方・労働環境などの違いです。

年収とキャリアパスの傾向

CRAの方が給与が高く、キャリアパスも広い傾向にあります。
ただし、その分成果や責任も重くなります。
CRCは安定性があり、長期的に働きやすい傾向があります。

項目CRACRC
平均年収約600万前後約450万前後
キャリアの広がり製薬会社、PW、QAなど様々少ない

「転職に何を求めるか」をはっきりさせておきましょう。

残業時間と発生する理由

業務量・残業量は、CRCよりCRAの方が多い傾向にあります。

  • CRA

出張やモニタリング報告書作成などで残業が多くなりがちです。
特に立ち上げ時期は忙しく、私も22時退勤が当たり前の時期がありました。

  • CRC

被験者来院に合わせたスケジュール調整が中心のため、勤務時間は比較的安定しています。
ただし急な対応や検査変更があると、残業も発生します。

移動・勤務場所の違い

勤務形態も、CRAとCRCとでは大きく異なります。

  • CRA:出張型/在宅勤務も可能

担当する全国5~10の医療機関に訪問するため、移動や出張が多くなります。
治験の進行状況によりますが、毎週のように出張が発生することも珍しくありません。
ただし、在宅勤務制度も多く取り入れられており、勤務時間も自由に決められることが多いです。

  • CRC:施設常駐型

被験者対応があるため、医療機関に毎日出勤して、常駐しておく必要があります。
フレックスタイム制度が導入されている企業も多いですが、被験者さんの来院時刻に合わせる必要があるため、あまり自由度は高くない印象です。
また、医療機関で働くため、服装や身だしなみは医療機関の規定に従うよう指導されるケースも多いです。

CRA/CRC への転職・キャリアチェンジの難易度

いずれも、特別な資格や学歴は設けられていないことが多いです。

  • CRA

・大学卒または大学院卒がほとんど。
・医療職よりも、MR・理系研究系出身が多い。
・未経験者の中途入社合格率10%前後。

  • CRC

・大学卒が多いが、短大卒、専門卒も多い。
・看護師・臨床検査技師・薬剤師などの医療系資格保有者が優遇されやすい。
・未経験中途入社の合格率は10〜35%程度。

看護師からの転職では、CRCへの転職の方がハードルが低く、入り口として挑戦しやすい印象です。

あなたに向いているのは?職種別「適性」チェック

ここまでCRAとCRCを比較してきましたが、自分にはどちらが向いているの思う方もいるでしょう。

それぞれの職業には向き・不向きがあるので、CRA、CRCそれぞれの適正を紹介します。

CRAに向いている人

CRAとして10年働いて経験から、向いていると思うのはこんな人です。

  • 状況把握と報連相が得意

様々な仕事を同時進行しながら、イレギュラー対応も求められます。
状況をうまく把握して、適切なタイミングで報連相できる方は「シゴデキ」認定されていました。

  • とにかくタフで、プレッシャーに強いこと

忙しい時期は、スケジュールにも追われ、体力的にも精神的にも疲弊しがちです。
そんな中でも、タフでいられる存在はチームの中でも頼もしい存在とされていました。

  • 交渉・調整力が高いこと

製薬会社と医療機関の間に立って、最適解を見つけるサポートをする場面も非常に多いです。
仲裁役として、適切に双方の主張を伝え、交渉したり調整したりできる人はとても仕事がスムーズでした。

CRAは「冷静な判断」と「粘り強さ」が鍵になります
忙しい時期に耐え抜けるタフさに自信がある方も挑戦してみるといいかもしれません。

<CRAへの転職に興味がある方はこちらの記事もチェック>

CRCに向いている人

SMOで働いた経験から、活躍していたと思うのはこんな人です。

  • 患者さんと接するのが好きな人

患者さんとのコミュニケーションがうまい方はCRCとして活躍していました。
CRAは患者さんと接することはないため、患者さんと接するのが好きな方は、CRCが一択と言えるでしょう。

  • チームワークや調整が得意

CRCは同じ医療機関で助け合いながら業務を行います。
視野を広く持ち、あらゆる場面を想像して調整するのが得意な方はCRCとしてもスムーズに業務が行えていました。

  • 文章を書くよりも、言葉で話す方が好き

CRCはメールなど文章によるコミュニケーションよりも、電話や対面でのコミュニケーションが多い職種です。
CRAのように文章や報告書を書くのが苦手という方は、CRCの方が向いているかもしれません。

チームワークを大事にしながら、患者さんの不安もうまく汲み取ることが得意な方はCRCの方が向いているかもしれません。

まとめ:CRAとCRC、どちらを選ぶべきか?

看護師経験を活かして、治験業界へ転職するのなら、まずは自分が「人と関わる現場型」か「データ管理型」かを見極めるのが第一歩です。

どちらの職種も、新しい治療選択肢を生み出すためのやりがいある仕事ですが、向き・不向きがあるのも事実です。

本記事で解説した違いを踏まえて、どちらが自分に向いているかをよく考えてみてください。

・CRAとCRCの違い
・看護師の経験をどう活かせるか
・それぞれの年収・働き方・適正
・向いている人の特徴と転職のコツ

よく考えたうえで、後悔しない選択をしましょう。

転職活動を成功させるための具体的なステップ

転職を成功させるためには、転職のプロに相談するのもおすすめです。

私は、CRO業界への転職に強いエージェントを2社利用し、履歴書・職務経歴書の添削や面接対策など、徹底的にサポートしてもらいました。

特に未経験の場合、エージェントの存在はとても心強かったです。

転職で失敗したくない人は、ぜひエージェントへの登録をお勧めします。

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